タバコっておいしいの?

2018年6月12日

 

タバコはうまいのか?

いや。

タバコはまずい。
それもめちゃくちゃまずい。

タバコを吸ったことがない人は、
ぼくの経験を読んでほしい。

タバコを最初に口にしたきっかけは?

ぼくが初めてタバコを吸ったのは、
医学進学課程の2年の時だった。

当時医学部は医学進学課程2年と
専門課程、いわゆる学部の4年の
計6年であった。

ぼくの次の学年から
医学進学課程が廃止され
6年一貫になった。

忘れもしない解剖学の実習の合間だった。

Tは実習の合間にタバコを吸っていた。
当時は屋内でタバコが吸えた。
実習室のそばの階段脇で吸っていた。

Tは二浪して合格したから二歳年上の同級生であった。
貫禄は充分であった。

タバコを吸う姿もサマになっているな
当時はそんなふうに見ていた。

Tとはそこそこ話をする仲だった。
Tはぼくが喫煙しないことを知っていた。

「すってみる?」
ふいにTはぼくに声をかけた。

そのときのぼくは
一瞬どうこたえるか悩んだ。
タバコは体に悪いとは知っていた。
どんなものなんだろうと興味はあった。
みんなうまそうに吸っているあれは何だ?と。

「あ、あー」
と答えていた。

Tはぼくに一本手渡した。
あれはたしかキャスターだった。

慣れない手つきで
見よう見まねで
左手の人差し指と中指でタバコをはさんだ。

ライターの火を出されたが
どう火をつけるのかわからず戸惑った。

顔に近づいた火は
触れているのかと思うほどに
熱かった。

ようやくタバコの先に火が付いた。

ちょっと吸い込んでみた。

「げほっ、げほっ、げほっ」

一回吸い込んだだけで、
むせにむせて、
それ以上吸うことはできなかった。

煙はまずかった。
けむいだけでまずかった。
何のおいしさも感じなかった。

すぐにTに火が付いたままのタバコを返した。

Tは、にやにやしていた。

タバコを吸った日はどうなったか?

その日、一日、ずっと気分が悪かった。
罪悪感ではなかった。
物理的に気持ちが悪かった。

一定時間おきに咳が出た。

精神的にも病んだ。
全身の細胞が窒息した。
そんな気になっていた。

タバコの煙には
一酸化炭素が含まれている
ことを知っていた。

一酸化炭素は人を窒息させる。
そんな知識が窒息のイメージを増幅させた。

とにかくその日一日は
ずっと不快な気分で過ごした。

タバコとはこんなにひどいものなのかと
まざまざと思い知った。

こともあろうにもう一度吸ってみた!?

再びタバコを吸ったのは、
大学院生のときだ。

当直バイト先の仲間と一緒に、
カラオケに行った時のことだ。

バイト先には喫煙者が多かった。
呼吸器科のドクターなのに、
喫煙者ばかりだった。

盛り上がったついでに、
悪ふざけをした。

自分から喫煙者のタバコをもらった。

マルボロメンソールであった。

火が顔に近づくと相変わらず熱かったが、
一回目に比べるとそれらしく火が付いた。

「ん?吸える」

咳こまずに吸えた。

味はしなかった。
ただただけむいだけ。
なぜか吸えた。

その日は3-4本吸ったと思う。

吸った次の日はどうだったか?

その次の日からが
地獄さながらであった。

咳と痰に一日中悩まされた。
三日は続いたと思う。

全身の窒息は感じなかった。
咳と痰が続いた。
のどにからむ痰が続いた。

はっきり覚えてはいないが、
ほかにも数本試してみた
かもしれない。

結局、生涯喫煙本数は10本程度。

結論としてタバコはうまいのか?

10本の経験から、
タバコはまずいと断言できる。

一吸引たりとも
うまいと思わなかった。

ただただ、けむい。
ニコチンはからい。

咳が出る。
痰が出る。
タバコは苦しい。

ただ、メンソールはすっとする。
あとで知ったこと。
メンソールはタバコ初心者を罠にはめるための方法。

メンソールによってけむさがごまかせる。
吸いやすくなる。
吸いやすければ何度も吸ってみることができる。
そしてニコチン依存を作りやすくなる。

これだけは絶対言える。
タバコはまずい。
これだけは絶対の真実だ。

追伸

なぜタバコがうまいという輩がいるのか?

それはニコチンに依存しているからだ。

毎日毎日、朝っぱらから、
あの激烈にまずい煙を吸うなんて、
病気以外の何物でもない。

これがニコチン依存症という病気だ。

ニコチンが体内に入ってきたときだけ、
脳の機能が正常に近づく。
それをうまいと言っている。

ニコチン依存にならなかったら、
うまいとは感じないのだ。

幸いぼくは依存が形成されなかった。
でも、何本で依存ができるかわかっていない。
一本でも依存する人もいるかもしれない。

ニコチン依存を作って、
タバコをうまいと感じる人生。

だれも望んでいないだろう。

だから、タバコは吸ってはいけない。
そして、存在も不要だ。